先輩のインタビュー:安部裕太朗さん(地域コアリーダープログラム)

事業応募時の年齢 :31才 高校教員

事業に応募した動機は何ですか?

大学卒業後、高校教員として勤務してきました。自らの専門性を高めるため、目の前の校務に集中し、全力で取り組んできた日々は大変でしたが、充実した毎日でした。ただ、30歳を過ぎた頃から徐々に挑戦することに躊躇を覚え、いわゆる「守り」に入り、自らの過去の経験や知識・価値観を絶対視するような感覚を味わいつつありました。日常に埋没してしまい、毎日がルーティンワーク化し、主体性や思考力がどんどん失われていく、そんな悪い意味での「慣れ」を感じていました。この現状を打破する一つの契機になると感じ、事業に応募しました。

事業に参加してどんな事を感じましたか?

派遣国のニュージーランドでは「社会全体で子どもを育てる」という文化が確立されていました。日本の教育現場は「学校」が子どもの教育を一手に担っており、有効的な外部資源を活かせていないという現状があります。それが、教員の長時間労働や過度なストレスにつながり、そのような状態である教員から施される教育が「子どものため」になるとは決して思えない、これが私の強い課題意識でした。派遣国では「ユースワーク」という学校外においても子どもたちを支援していくという文化があり、このユースワーカーたちを学校現場に積極的に招聘し、多くの大人たちが関わりながら、まさに「社会全体で子どもを育てる」というシステムがありました。学校が責任をもって子どもたちを教育する日本の教育文化は大変素晴らしいものだと思います。ただ、この方法に限界が近づいているのも事実です。私にとって、この派遣期間は「子どものため」という言葉の本当の意味を考えることができた貴重な時間でした。

事業での経験はあなたの人生にどのように影響していますか?

高校教員をいったん退職し、世界の教育現場をめぐる旅に出ることにしました。先進国・途上国という枠を超えて、「教育とは何か?」について深く考える時間にしたいと思っています。そして、帰国後は何らかのかたちでその経験を日本の教育現場に還元していきたいと考えています。

応募を考えている方へのメッセージ

この事業の特色は高齢者・障害者・青少年各分野における、「若手のプロフェッショナル」が派遣されることにあると感じています。各現場で奔走し、そこで抱えている課題意識解決のために集まったメンバーで派遣されるこの事業は、ただの国際交流・文化交流とは異なる、私にとってハートが熱くなる体験ができた非常に濃密な時間でした。現在、仕事で行き詰ったり、伸び悩んだりしている人にこそ、この事業に参加してほしいと思っています。同じように現場で強い課題意識をもち、そして熱い情熱をもったメンバーに出会えます。そして、派遣国にはその解決の糸口があるはずです。「自分のことは自分が一番よく理解している」と言いますが、帰国後は「自分ことを一番理解していなかったのは自分自身であった」という矛盾に似た不思議な感覚を味わえると思います。

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