H30ブロック大会・全国大会のテーマ一覧

『小さな島で大きく生きる』~ 世界から人を呼び込む力を磨こう ~(香川)

国立社会保障・人口問題研究所が公表した『日本の地域別将来推計人口(平成30年推計)』でも明白なように、我が国の人口は減少する一方である。将来的に人口減少の意味するところは、集落の消滅や経済の停滞といった、国家規模の危機である。山間部や多くの離島を抱える四国地方も例外ではなく、各県がこれらの課題に資する対策を打ち出している。

その一例として、2010年に始まった「瀬戸内国際芸術祭」は、その後3年おきに開催され、毎回盛況を博している。芸術祭は、ともすれば忘れられがちな、瀬戸内海沖の小さな島々を舞台にしており、国内外を問わず多くの人々を魅了してきた。そして、その盛況ぶりは単なる一過性のものではなく、新たな可能性を秘めているのかもしれない。

本大会の基調講演には、NPO法人男(お)木島(ぎじま)生活研究所の福井大和氏をお迎えする。福井氏は、「瀬戸内国際芸術祭」を契機に故郷である男木島へ家族と共に移住した。近年、男木島では福井氏のような若い世代の移住者が増えている。移住後、福井氏は地元住民と移住者間の協力を促し、生活環境を整えてきた。それだけに留まらず、活動内容を世界に発信することで、更なる共感を得て、新たな人材を呼び込んでいる。

内閣府、四国ブロック内の地方公共団体等が実施した青少年国際交流事業の既参加者は、事業から得た経験や異文化理解に対する幅広い知見を元に、地域に貢献することが期待されている。瀬戸内海に浮かぶ男木島、四国、ひいては日本も世界から見ると、「小さな島」に過ぎない。通信技術の発達により、世界に情報を発信したり、逆に情報を取り入れたりすることが容易になった現在、「小さな島」にいる私たちでも、考え方や行動一つで、大きな世界に開かれた生き方が可能である。 本大会を通じて、人々を巻き込む力と世界への発信力が、様々な能力を持った人材間の協力を促し、地域の活性化に繋がっていく過程を学ぶ。そして、参加者が自らを振り返ったり、互いに活発な議論を交わしたりすることで、各自の現状を知り、今後更なる地域の活性化に貢献していくきっかけになることを目的とする。

「地域活動団体の連携によるグローバル人材育成の取組」 (山梨)

日本の年少人口が年々減少しているなか、生産年齢人口が進学や就職を機に都心部へ流出していることは、地域における課題の一つになっている。

 近年、地域では若者が暮らしやすい街をつくるために、民間団体、学校、行政が互いに連携し、それぞれの得意分野を活かしながら地域振興を進めていくことの重要性が認識されるようになった。山形県でもさまざまな形で地域活動団体の連携が行われており、国際交流や留学、街づくりなど、地域創生や青少年育成での成果も現れ始めている。  今大会では地域活動団体の連携の取組のなかから、グローバル人材育成の取組を中心に考える。基調講演では、里山ソムリエとしても活躍する黒田三佳氏をお呼びし、地域住民が主体となった人材育成と国際交流を中心にお話いただく。分科会では、内閣府事業の既参加青年組織である日本青年国際交流機構(IYEO)のネットワークを活用し、グローバル人材の育成などを行なっている地域で活躍するパネリストをお呼びし、意見交換を行う予定。地域活動団体の連携事例や活動を通して地域に還元している話を聞くことで、各地域において活躍する人材を育成するヒントを持ち帰ることをねらいとする。

「自分のなかに、地域のなかに、世界のなかに、次の時代の星を輝かせて」~地域で考える 魅力、優しさ、個性~(鳥取)

日本で最も人口の少ない鳥取県。しかしながら、暮らしやすさ日本一(平成27年経済産業省)の米子市、住みよさランキング「安心度」日本一(平成29年度東洋経済新報社)の倉吉市、日本「住みたい田舎」日本一(平成29年度宝島社)の鳥取市にみられるように、日本国内においても地域性の高さは特筆に値する。この大きな要因の一つには、情報発信力の強さがある。様々な情報の氾濫する現在において、地域ならではの独自性、重要性、こだわりを持った活動展開が、小さなエリアのシンプルな取組であっても国を超えた関心や共感につながることを示唆している。少子化に象徴される地域・時代で活動する私たちにとって、一人一人が自分の考えるリーダーシップを実践に移していくことは、やがてその集積が個人の、また地域の強固な存在性を高めることになる。 本大会を通じて、参加者がそれぞれの経験や知見を、地域での取組や特色ある文化・産業等に照らし合わせ、議論や情報交換してブラッシュアップし、潜在していた自身の魅力や能力を引き出し、昨日とは違う新しい自分を発見してもらうことで、持続可能な交流や国際理解を通じた青少年育成に係る活動、ひいては地方創生に寄与することを狙いとする。

『大阪の過去・現在・未来 ~万博を通してサスティナブル・シティを考える~』(大阪)

「インバウンド需要」や「インバウンド消費」などの言葉が当たり前に交わされるようになった昨今、LCCの増便に伴い、関西国際空港を利用する国際線の外国人旅客数は増加の一途をたどっている。2011年に約276万人だった外国人旅客数は、昨年には1,430万人を超えた。大阪は、関西のインバウンド玄関口とも言われる関西国際空港を擁し、多くの観光客が訪れる大阪ミナミの「道頓堀」では、日本人よりも外国人観光客の方が多いという光景が、最近では見慣れたものとなっている。また、大阪は関西の中心に位置することから京都・滋賀・奈良・神戸・高野山・などへの観光拠点とする人達も多い。鉄道を主とするインフラの良さは、大阪が海外の経済雑誌において「世界の住みやすい都市ランキング」3位と評される要因となっている。このように、地域の国際化が急速に進む社会環境の中、今、改めて『進歩と調和』の意味をグローバルリーダーシップの視点から考えてみたい。

大阪は2025年の万博誘致に向けて取り組んでおり、本ブロック大会が行われる11月には開催国が決定する。日本で最初に開催された1970年の大阪万博は、その後の大阪の都市整備の礎となった。2025年の万博では、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)が達成される社会の実現を目指している。SDGsが達成される社会を実現するには、異なる価値観や文化について人々が相互理解を深めていく事が不可欠であり、グローバルな視点を持ちながら、地域に貢献できる人材の育成が重要急務だと考えられる。

本大会では、講演を通じて万博誘致に関する行政の取組や、大阪の国際化の現状と展望を多くの人々に知ってもらう機会を提供する。分科会では、大阪や日本の風土・歴史・文化について理解を深め、自らの地元の魅力を再認識するきっかけとなることが期待される。さらに、内閣府の青年国際交流事業の帰国報告や日本青年国際交流機構(IYEO)、その他の組織・団体の近畿で行われた交流プログラムの活動報告を通して、グローバルな視点をさらに拡げ、地域に貢献するヒントや刺激を得る機会となることを目指す。

「地域文化×地域活性化 ~次世代につなぐ地域の魅力~」(岐阜)

人々の生活は多様化し、新しいもの、便利なものがあふれている現代社会において、地域の歴史や伝統を次世代につなぐこと、あるいは、地域のつながりを深めることの大切さが改めて見直されています。

今回は、まさに伝統を守りながら地元を活性化し、インバウンド事業にも取り組んでいる岐阜県美濃市の実情を学びます。ユネスコ無形文化遺産として登録認定された美濃和紙が、伝統工芸の枠を越え、幅広い年代のボランティアによってうだつの上がる町並みに映える「美濃和紙あかりアート展」が開催されるなど、美濃市は全国から注目されています。

地域の魅力を見出す視点について、そして地域の活性化についてみなさんと一緒に考えていきたいと思います。地域で暮らす私たちにできることは何か、あなたのまちを元気にするヒントを探してみませんか。

「ながさき事始(ことはじめ)」 ~長崎に息づく異文化を再認識し、多文化共生について考える~(長崎)

グローバル化が進む現在、多くの分野において他国との連携の重要性が増している。こうした時代において、内閣府の青年国際交流事業を始め、各都道府県、地方公共団体の派遣事業等で、国や地域の代表として国際社会での体験を積んだ青年たちの果たす役割はますます大きくなっている。今後は次世代を担うより多くの青年が国際交流事業に参加できる機会を提供することで、国際社会で活躍できる人材の育成を目指したい。そのために、世界とのつながりの中で地域の歴史や文化を再認識し、地域の発展のために他機関や他分野とも連携し、共生することが重要な課題である。

 本大会の基調講演には長崎市在住のグラバー園名誉園長であるブライアン・バークガフニ氏をお招きする。鎖国時代の約200年間、長崎の出島は海外に開かれた日本の唯一の窓口だった。1859年の開国後も居留地がおかれたことで長崎は世界貿易都市としてさらに栄えた。そのため、長崎には食べ物、スポーツ、教育施設、会社など「日本初・長崎発祥」と言われるものが数多く残っている。それらの多くが西洋を始めとする諸外国の人々によってもたらされ、地元長崎の人々とのふれあいの中で育まれたものである。昔も今も長崎の街並みや生活に影響を与え続け、長崎の独特の雰囲気を創り出している多文化共生についての基調講演を頂く。分科会においては、長年、地元で活躍されている方々の講話や伝統文化体験を通じて、専門分野を生かしながら思いや文化を継承し続ける姿勢について学ぶ。また、各々の地域の歴史や文化について理解を深め、魅力を再発見したり、発信したりする方法を得る機会にしたい。

江戸時代から幕末にかけて長崎には最新の学問や技術を求め、見聞を広めた全国各地の遊学者たちが数多くいた。その多くが後に日本の歴史を動かす原動力となり、また地方振興の立役者となった。本大会では、当時の先人達の行動力に思いを馳せながら、歴史と異国情緒あふれる長崎で異文化理解、多文化共生そして世界の恒久平和について参加者全員で考え、各々の地域でIYEOとして活動することを確認する機会としたい。

「人とのご縁で世界にジャンプ!」 (長野)

近年、人とのつながりが持つ価値が見直されています。2010年に放映されたNHKスペシャルをきっかけに「無縁社会」という言葉が広く浸透しました。「無縁社会」とは、家族や地域などにおける人との絆が薄れ、孤立する人が増える社会を指しており、社会問題となっています。

 今回、北信越ブロック大会が開かれる長野市は、「ながのご縁を」をキャッチフレーズにまちづくりを行っています。それは長野市が人とのつながりを大切にする町だということを表しています。善光寺を中心とした門前町で、「一生に一度は善光寺参り」の言葉からもわかるように、江戸時代から県内外、沢山の人が長野の地を訪れました。また1998年の冬季五輪開催やスノーモンキーなどの国際的な人気により、外国人観光客の訪問も近年急速に増えています。このように長野には、人とのご縁を大切にする風土が根付いています。

 本大会は、人との出会いを参加者に提供します。一日目に開催される「ワールドスタディカフェ2019」は長野県IYEOの自主事業であり、2006年より毎年開催し、今年で第14回目を迎えます。これは内閣府青年国際交流事業参加者だけでなく地元の方々にも開かれた事業であり、様々な人との交流を深め、国際交流・協力に興味がある人のための学びの場を提供することを目的として開催しています。

基調講演では長野市生まれインド工科大学客員准教授である山田真美氏をお迎えします。山田氏は、人とのつながりを大切にすることで次々と新しい道を切り開き、誰にも真似できないキャリアを歩んでいる方です。また、今年度の内閣府青年国際交流事業参加者の帰国報告も実施します。二日目の分科会では、長野市の中心市街地のコミュニティづくりを行う人など、地域で活動する方から話を聞く機会を設けます。これらを通じて、参加者が新しい価値観やつながりをもち、世界に行動を起こしていく力を得ることを本大会のねらいとします。

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