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OB/OG紹介 – 一般社団法人グローバル教育推進プロジェクト(GiFT)代表理事:辰野まどかさん – 日本青年国際交流機構(IYEO)
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OB/OG紹介 – 一般社団法人グローバル教育推進プロジェクト(GiFT)代表理事:辰野まどかさん

今回は、一般社団法人グローバル教育推進プロジェクト(GiFT)の辰野まどかさんにお話を伺いました。10代の頃からいろいろな価値観に触れてこられただけあって、生き生きした表情と澄んだ瞳の中に、芯の強さと包容力を感じさせる、笑顔が素敵な方でした。

参加された事業とそのきっかけは?

参加した事業は、以下の通りです。

  • 2001年 第28回「東南アジア青年の船」事業(SSEAYP)参加青年
  • 2006年 第20回「世界青年の船」事業(SWY)教育コース・ファシリテーター
  • 2008年 第22回「世界青年の船」事業(SWY)コースディスカッション主任
  • 2009年 第23回「世界青年の船」事業(SWY)コースディスカッション主任
  • 2010年 第24回「世界青年の船」事業(SWY)コースディスカッション主任

英語嫌いで海外にも興味を持たない中高生だったのですが、母からの17歳の誕生日プレゼントは、なんと「スイスの国際会議に参加する権利」でした。でも、自分には世界に興味を持つ素地があったようで、大学生の時に「東南アジア青年の船」に参加し、そして、「次は、管理部員として『世界青年の船』に」と思っていました。「世界青年の船」(以下、「世界船」)は、アメリカの大学院留学から帰国した時にお話をいただき、2006年は「教育」分野を扱うディスカッションのファシリテーター、2008~2010年は様々な地域や地球規模の課題について討議する「コースディスカッション」の担当主任として7つのコースに関わっていました。

現在のお仕事は?

今は、一般社団法人グローバル教育推進プロジェクト(GiFT) の代表理事をしています。もともとグローバル・シチズンシップ(地球志民)育成を目的としたグローバル教育を専門としており、より良い未来を作っていくために、多様性から新たな価値を生み出せるグローバル教育を通して、平和づくりに貢献していきたい、という思いがありました。

2012年に設し、7年目です。今は文部科学省主催の官民協働海外留学支援制度「トビタテ!留学JAPAN」高校生コースの事前事後研修や、アジア7カ国を舞台にした海外研修「Diversity Voyage」等、中学・高校・大学・企業を対象としたグローバル・シチズンシップ(地球志民)育成に関するプロデユース、研修、講演等を行っています。2015年より「持続可能な開発のための教育(ESD)円卓会議」委員、2016年からは東洋大学の客員教授も務めています。

次世代リーダーの育成とは?

私がGiFTを立ち上げたときは、まだまだグローバル・シチズンシップの概念自体が広く知られておらず、「地球志民」とか「地球社会」というと、周りから「頭がおかしい」と思われるんじゃないかと不安になることもありました。ここ最近ようやくSDGs等の活動が認知され、「地球志民(グローバル・シチズンシップ)」という言葉が、文字通り市民権を得はじめて来ているのを強く感じています。でも、私が考える「地球志民」は、留学する人や国際社会に生きる人の特権ではなく、地球のどんな場所でどんな生活をしていようと、村から一歩も出ていなかろうと、地球社会を共有する市民であるという思いを込めています。そういう私たちが未来の地球社会に何がギフトできるんだろう?という問いとともにもつ“世界をよりよくする志”を「グローバル・シチズンシップ」と呼び、その志を引き出し、自分や自分の生活を地球レベルの大きな視点で捉える目を養う場づくりを教育プログラムとして行なっています。

ですから、私たちが運営しているプログラムの一つ「Diversity Voyage」では英語力を必須条件としていません。ただし、英語を使わないということではありません。現地に到着した翌日からは現地学生と英語で、対話が始まります。中には、現地でコミュニケーションが取れず夜のふりかえりで、悔しくて泣いてしまうメンバーもいます。英語だけではなく、現地の人も答えを持っていない社会課題にも向き合うので、チャレンジもあります。英語が全くできずにプログラムに参加し、帰国後にぐんぐん英語力を伸ばしたある学生の一言が印象的でした。「自分は英語を学ぶ理由が分からなかったから勉強してこなかった。今は、それが分かったから勉強もできる」。逆に、思いがあれば、つたない英語でも、言葉ではない部分で伝わることというのも確実に存在します。それを感じ取ることも大切な経験となります。

現地での様々な経験を通して、自分の固定概念が揺さぶられ、その中で、現地の人々や、メンバー同士で深い対話を重ねて行く。そこから生まれるアイデアや思いが、未来への大きなギフトになると信じています。

事業から受けた影響は?

世界船は、「地球志民」や「地球社会」という言葉を身をもって体感できる希少なプログラムです。五大陸から、国はもちろん、宗教、文化、言語、人種、様々なバックグラウンドを持つ若者たちが、どの国にも共通する教育、環境、異文化理解などのテーマを話し合ったり、共に歌い、踊り、文化交流をしたりすることで、肌で、五感で、心で自分が地球の一員であることを実感します。船内という逃げ場のない環境、そして、船という舞台が生み出す一体感と、多様性に満ちた若者たちのエネルギー溢れるこのプログラムは、「究極のグローバル教育の現場」だと感じています。

GiFTで共に働く仲間には、船事業出身者が多くいます。それは、世界船や東ア船の世界観を、より多くの人たち(例えば世界とのつながりにピンとこない人)にも触れてほしい強く思ったからです。船事業の仲間は、グローバル・シチズンシップが何なのかを言葉で説明しなくとも、感覚として世界観を共有できているので、ブレずに共に活動ができているように感じています。GiFTの仲間一人ひとりが、船事業で目覚めた地球社会の一員である自覚を大切に、グローバル教育の普及活動を行っていると言えると思います。

これから参加する人へ

東ア船に乗っている時、世界船にアドミで乗船している時も、この数十日のプログラムのつながりがこうしてその後、何年も続くなんて考えていませんでした。ただ、船上で、どうやったら、多国籍の仲間とより良いプログラムを作ることができるかに集中し、全力で取り組んだからこそ、その時間を共にした仲間とは言葉なくしても、目指している世界観を共有できているように感じています。

そして、その時、それぞれの夢を聞いているからこそ、何年経っても、仲間の夢を応援し続けることができ、またタイミングが合った時に、それぞれの国、専門と共にプログラムを作っています。GiFTの国内外の研修は、仕事でもあるかもしれませんが、より良い未来を教育を通して作って行こう、と思いを共有している仲間との、思いの実現の場だと思っています。

最近、世界船出身の白幡さんが、マレーシアで、貧困改善や伝統工芸の保持、環境への配慮に取り組むファッションブランド「Earth Heir」で活動を始められました。白幡さんの思いを聞きながら、アートと教育をテーマにプログラムが作れたらと話をしています。

乗船した時に、まだやりたいことが見つかっていなくても、もしくは夢を持っているけどどう叶えていいかわからなくても、多くの志ある仲間に出会うことで、自身の思いが見つかったり、夢を叶えていく同志に出会ったりできます。18-30歳まで参加できるこれらのプログラムは、きっとあなたにとって一生モノの経験になります。船という舞台でいろんな価値観に出会い、色々な気持ちを味わうことは、ここでしかできない貴重な体験です。ぜひ自分の肌で、五感で、心でどっぷりと味わってきていただけたらと思います。

まどかさんがインタビュー当日につけていたEarth Heirのピアス。繊細な手刺しの刺繍が特徴的でした。

Earth Heir

インタビュー担当:大脇 小百合(第40回日本・中国青年親善交流事業参加)

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