OB/OG紹介 – ICF国際認定PCCプロコーチ:西條美雪さん

世界青年の船(以下、SWY)に、参加青年、ファシリテーター兼内閣府管理部、日本ナショナルリーダー(日本参加青年の引率者)と違う立場で3回乗船している西條美雪さんは、ICF国際認定資格を持つプロコーチです。2002年からコーチングを学び始め、現在は北海道と東京を拠点に組織と個人の可能性を拓くサポートをしています。日本ではまだ、対話やコミュニケーションなど、形にならないサービスを利用する文化がなかなか根付いていないものの、クライアントは学校の先生から、ビジネスパーソン、大学生、海外駐在員まで様々。それぞれの悩みも、親との関係性、仕事、婚活、パートナーとの関係、仕事とプライベートの両立など多様だそうです。クライアントとともに、その人の価値観や信念を一緒に探求し、本人ですら気づいていない価値観やものの見方を一緒に発見し、目標に向かって行動に移していくのがコーチングだと話す西條さん。その人が輝く瞬間に立ち会い、自分自身もクライアントと一緒に学び変化するのがコーチングのやりがいだといいます。そんな西條さんがコーチングと最初に出会ったのは1996年、SWY8に乗船中のことでした。

コーチングとの出会いはSWY

初めて船に乗ったのは、まだ21歳のとき。ただただ、世界の大きさと多様性に圧倒されたそうです。同世代の参加青年の中には、アパルトヘイトが終わったばかりの南アフリカからの青年もいて、新しい国を作ろうと輝く青年たちを見ながら、同世代なのに環境や悩みがまったく違うことに驚きました。一方で、英語が苦手でコミュニケーションがうまく取れず頭を悩ませました。気持ちばかりが先走り、スキルが追いつかず苦労したそうです。文化の違いにもうまく配慮することができず、他意はないものの相手に失礼な態度を取ってしまったこともあります。

様々なフラストレーションがたまって自分を見失いかけたとき、自分自身と向き合い、自分のやりたいことやゴールを見つけるサポートをしてくれたのが、アメリカでコーチングを学んだ、ナショナルリーダーの本間正人さんでした。本間さんと話をすることで勇気づけられ、行動を起こしていくことで自分の世界がどんどん変わることを彼のコーチングを通して学んだといいます。

SWYに乗り、感情や意見を言語化することや、言葉以外のコミュニケーションの大切さを知った西條さんは、もっと勉強したい、もっと世界を知りたい、もっといろいろな人たちと関わりたいと思うようになりました。そんな思いから、31歳のときに、今度はファシリテーター兼内閣府管理部としてSWYに参加。SWYの運営面や全体像を理解することで、さらにプログラムへの愛着が沸きました。そして再びナショナルリーダーとして38歳のときに乗船。参加青年が持っている自主性とそのメンバーだからこそうまれるダイナミズムを尊重し、彼らの創造力やチャレンジ精神をサポートするのに奔走しました。

リーダーシップとbeing、そしてSWY

人間は英語で、human beingと言いますが、人は、なかなかbeing(在り方や価値観)よりもdoing(行動)に目が向きがちだと西條さんは話します。一方、肝の据わったリーダーは、内省を取り入れ、自分との対話を持つことで、being(在り方)とdoing(行動)の両方を大事にするそうです。自分のbeingを知るためには、どのような時に喜びややりがいを感じどのような時に失うのか、今何を感じているのか、どのようなメガネ(視点)をかけて物事や他人や自分自身を見ているのか、少しでも時間をとって言語化しようとすることが、自分の内側の声を聞く第一歩だと西條さんは話します。

グローバルなビジネスにチャレンジする大学生や新入社員、若手のビジネスパーソンと接する機会が多くある西條さんは、環境や人間関係の変化などの不連続な場面に遭遇する際や、多様性の中で何かを創造していくとき、また手痛い失敗をしたときに人は大きく成長することを実感しています。そつなくスマートにこなしていくのもかっこいいけど、日常では考えられないようなチャレンジや手痛い失敗を、感性が柔軟な若いときに経験してみてもよいのでは、と西條さんはアドバイスします。

3回のSWY経験を経て、自らを含む、青年たちを成長していくさまを見てきた西條さんは、地球の縮図のような、世界の大きさと個々の多様性を体感できるSWYこそが、後に知識やスキルを入れる人間としての器や認識の枠組みを広げるのに最適な場だといいます。今思い出すと恥ずかしいことや、失敗もたくさんありましたが、変化や成長こそが最大のエンターテイメントだと西條さんは笑います。そんなSWYを通じて、自分のbeing(在り方)や可能性を思いっきり広げてほしいと若者にエールを送る西條さん。今後もコーチングを続けつつ、個が輝くための組織や、組織の競争力を伸ばしていく個など、個人と組織の関係について着目していきたいそうです。

友人が書いてくれたブラックミニーさん

インタビュー担当:小宮 理奈(第21回世界青年の船事業参加)

関連記事一覧